今だからこその「地学のすすめ」:地球を知り,地球と付き合い,地球を楽しむ

北海道内のある自治体の市民向けの講座の講義を依頼され,昨日,広報用の資料のために講義のタイトルと概要を送った.ちょっと長いので削ることになるかもしれないので,ここに記録しておく.ちなみに講義をするのは夏になりそう.

 

講義タイトル

今だからこその「地学のすすめ」:地球を知り,地球と付き合い,地球を楽しむ

 

講義概要

最近,地震や火山の噴火,あるいは地すべりや土砂崩れなど,自然災害があちこちで発生し,皆さんも地球をこれまで以上に意識するようになってきたのではないでしょうか.自然災害は私たち人間にとってとても深刻なものですが,地球に悪気はありません.地球は人間の都合を忖度することなく,地球の理屈で生きているだけなのです.その地球の理屈を学ぶのが地学・地球科学なのですが,日本の学校教育の中での地学の存在は極めて小さく,ほとんどの国民は義務教育が終わってから地学に触れることがありません.

地学の目的は防災といった実利面だけではありません.地球という小さな惑星の上で生まれ,進化してきた生物種の一つ (の中の一人) として,「母なる地球」と「私たち」自身が「どこからきたのか,何者なのか,そしてどこへ行くのか」というある種,根源的なことを考えてみるのも人生の精神的豊かさの現れであると思います.この私が今ここに存在すること自体,46億年におよぶ地学現象の積み重ねの中の奇跡的偶然の結果であると考えてみると (大袈裟のようですが),実に不思議な感覚を覚えます.

NHKの番組「ブラタモリ」をみたことのある方はお解りでしょうが,身近なちょっとした地質・地形も,地球の営み,つまり地学現象の結果ですから,過去のことについて,いろんなことを教えてくれます.例えば,地層というものはほとんどが海の底にたまるものですから,裏山の崖に地層が見えるところはどこでも海であったことが解ります.それが解ったからと言って何も実利はありませんが,そうと解るだけでも,とても楽しい気持になれるのではないでしょうか.

災い転じて福となすといいますし,思い立ったが吉日ともいいます.この講義では上に書いたようなことをお話ししますが,皆さんが地学に親しみ,その結果として,地球と上手に付き合い,そのことで人生を豊かにされる,そのきっかけの一つになれば大変幸いです.