オリンピックと下心

全くの突発事件であったのが東京オリンピックの一部競技の開催場所を札幌に移転するという騒ぎ.最初の情報をインターネット上で見てから 24 時間も経たない内に実質的に決定したという報道になって,本当に驚いた.

それはさておき,暑くて条件の悪い東京から涼しくて条件の良い札幌に移ることによって,日本人選手のメダル獲得の可能性が小さくなったという下心というか本音が競技関係者からもろに出てきて,僕は,それを云っちゃおしまいよと思った.オリンピックに限らず,スポーツ大会というのは,参加する全ての選手が可能な限り良い条件で思いっきり力を発揮し,互いをリスペクトしながら競い合うというのが原則であるし,そういうところが面白いということになっているはずである.

札幌実質決定報道のあと,連日のように <多分文字通りそうであったと思うが> 民間TV の昼間のワイドショーは札幌への negative な発言で溢れた.僕は札幌に移ってちょうど 50年になるが決して愛市的な札幌市民ではない.それでもこの札幌たたきは大いに不快であった.札幌市民の多くのみならず,かなりの北海道民も同じような不快に感じたのではなかろうか.そのこと自体は,東京キー局のワイドショーが東京在住のタレント・評論家などの <そうだ.TV のワイドショーにおいては,昔のことばでいう文化人や評論家よりもお笑いタレントの発言のほうが重宝されるのだ>,東京一極中心視点で構成されているのだということが良く表現されていて悪くは無かったが.

それからもう1つ.ワイドショーはマラソン関係者の不満で溢れたものの,競歩の関係者の声がほとんど全く聞こえてこなかったのはどういうことなのだろう.競歩もメダルの可能性が下がったということになっているのだろうか.

札幌開催の騒ぎは決着したものの,新たに生じた問題が山積しているのは間違いない.関係の皆さんには「ご苦労さま」と云うしかない.

それでも札幌移転に不満をくすぶらせている方は多いだろうと思う.そういう人に最後に一言.50年札幌市民が確実に云えることがある.真夏の東京から千歳空港にもどり,自動ドアから外に一歩出たときのあの心地よさである. 競歩とマラソンの選手にも,また来年の8月に札幌を訪れる人たちにも確実に感じてもらえると思う.