この国の保守安定王朝と動物農場

評判の悪かった首相が辞任して第一の側近が<数人のトップ会談を経て>次の首相になった.たったそれだけで支持率が30%代から60%代へとほとんど倍加したことには大いに驚いた.この国はいわば王様を運命的にあてがわれることが定めの王国家のようだ.前の王様はちょっと信頼できないところもあったが,今度の王様は良い王様だったら有り難いね,という民の期待感.この国は,なによりも安定を好む民が多勢を占める国家.こういう見方はどうだろう?
考えてみると,江戸時代と良く似ている.天皇存在の傍ら<今と同じだ>,徳川が安定の260年を維持した.百姓一揆島原の乱大塩平八郎の乱などもあったが,耐え忍ばないは容赦のない弾圧にさらされたこともあり,民の大勢は動乱・混乱をきらい,安定を求めた.それ以外の選択はなかったのだ.明治維新も民の革命とは言い難い.260年間,民は将軍の治世が良いものであることを望み,人生を生き続けた.そしてそれから150年余り,民は同じように混乱を避け,安定を求めて生きているようだ.
今こそ,ジョージ・オーウェルの Animal Farm <動物農場> を読んで,この国の保守安定王朝と比べてみる時期だと思う.NHK Eテレの100分de名著で,動物農場をとりあげてくれないだろうか.日本語訳も多数あるし,なによりも短くて大変読みやすい.
 
20201005 追記
江戸徳川政権開始以降,現在までの410年余りのうちで, 唯一といって良いだろう, 民が高揚したのが 1945年夏からの20-30年間.それを体験した最後の世代 = 団塊の世代も徐々に死を迎えつつある一方で, 今の若年層の王朝支持率は高い <最近のものでは, 2020年10月4日発行の The Asahi Shimbun Globe, 234号を参照>.ため息が出るが, 王朝はさらに安定化の傾きを増しているようだ.